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日米軍事同盟の役割は東アジアの軍縮である

現在の世界は、東西冷戦構造が崩壊して20年を迎えたが、旧社会主義国であるロシアと中国が経済的発展を遂げたことにより、再び世界の安全を脅かす戦争の危険性を萌芽させてきている。

ヨーロッパにおいては旧ソ連の盟主ロシアが、そしてアジアにおいては経済発展を遂げた非民主主義の中国が凄まじい勢いで軍備拡張を進めて来ている。あたかもそれぞれの域内での覇権を追求するがごとく、旧来の軍事力を背景として大国主義的外交戦略を準備して来たことである。

社会主義と自由主義経済の対立は、双方の陣営がそれぞれの世界秩序を世界的に支配しようとする争いでもあったが、社会主義経済体制が崩壊して、世界は新たな自由と民主主義の秩序を確立しようという過程にあった。

ここでは思想的、経済体制的な世界の覇権争いは最早無意味であり、それ故、軍事的対応が無用となる、人類にとっては一つの大きな進歩の過程を進もうとして来た20年でもあった。

エネルギー資源価格の高騰による経済復興を遂げた新生自由主義ロシアと資本主義経済体制を併用して高度経済成長を遂げた社会主義中国の台頭は、これらの国が自由と民主主義をその政治理念とする限りにおいて、世界は歓迎すべきことであった。

しかし何故、ロシアは東ヨーロッパ諸国における自由主義経済体制への共同体化に干渉しなければならないのであろうか?アジアにおいては、何故、中国は急速な軍拡を進めなければならないのであろうか?全く不可解としかいえない。この二つの大国にとって、自由な世界の経済市場が存在してこそ、彼らの将来の発展も約束されるはずだからである。

自由と民主主義は、民族の対立を超え、国境を無くし、究極的には世界連邦樹立への道を開く政治体制の基本である。そしてこのことは世界戦争の世紀であった20世紀の人類共通の歴史認識でもあった。

政治体制やその政治観が自由と民主主義で共通する限り、国家間の争いを武力で解決しようとする政治体制や思想は完全に否定されなければならない。この理想に到達するために、一国覇権主義の大国が世界の安全保障を支配する時代も終わったと考えなければならないのである。

そのことは、冷戦終了後20年に亘って続いたアメリカの1極支配体制が、昨年の金融資本破綻に始まるアメリカの凋落により、その1極支配が崩壊し始めていることにも象徴的に示されていることである。

日本の民主党政権は、アメリカ一極支配から多極的支配に移行しつつある今、アジアの安全保障機構を構築するために、従来に増して日米軍事同盟を活用しなければならないのである。それは従来の社会主義イデオロギーに影響された反米主義や反自由主義の理念ではなく、ましてや幼稚な平和幻想の外交でもありえない。

交戦権を放棄している日本が担うべきアジアの安全保障の役割は、交戦権を保持するアメリカとの同盟を通して、東アジアのみならず、アジア太平洋圏の集団安全保障機構を樹立することである。そしてその目的は、交戦権を放棄した日本が、軍備拡張を続ける中国やロシアの軍縮を強く要求し、相互の安全保障に関する信頼を構築することである。

少なくとも東アジアの地域においては、国境紛争や経済紛争、或いは民族や国家支配が非民主主義的に進められる軍事紛争は絶対に容認しないという体制のリーダーたる役割が、日本の民主党政権には求められている。このことはASEAN諸国が共通に希望していることでもあり、先の戦争の責任を償うことでもあることを民主党政権には深く銘記してもらいたい。

この意味で、普天間基地拡充の理解を住民に求め、その代償を手厚くする約束をすることである。そしてアジア安全保障機構設立のために必要ならば、自民党の密約的対米従属の日米軍事同盟ではなく、交戦権を持たない日本に代わる戦争抑止力としてのアメリカの軍事力を拡充させる国民的合意を確立するために、防衛構想を一刻も早く開示することである。

日米軍事同盟の破綻は、日本が交戦権を持つ軍備した国家に再び戻ることを意味している。反米主義や幻想的反戦主義が、ヨーロッパやアジアで勃興し始めたロシアや中国の覇権主義への対応として如何にナンセンスであるかを、更にこれらの国が国連の決議を超越できる国家であることを、民主党政権は日本の国民に周知させる必要があるだろう。

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